居候同期とフクザツな恋事情
フォークを置いてイオを見ると、彼が私を見て不思議そうに首を傾げた。
なんとなく声に元気がなかったような気がしたけど、私を見るイオの表情はそれまでと変わらない。
「俺も食べよーっと。いただきます」
ジッと見守る私の前で、イオがいつものように礼儀正しく手を合わせる。
「んっ、美味い!」
パンケーキを一口食べたイオが、パッと目を輝かせて嬉しそうに笑う。その声も、表情もいつも以上に元気そうだ。
私の気のせいだったのかな。
パンケーキの続きを食べようとしたら、フォークを持ったイオの手が私のお皿に伸びてくる。
「メェちゃんのも、一口ちょうだい」
「あ、ちょっと……」
許可なく奪い取られた一欠片を目で追っていると、最後にそれをパクッと口に入れたイオと目が合った。
「ん。メェちゃんのも美味しい」
唇の端にちょこっとついたクリームをぺろっと舐めながらイオが笑う。
それは、私が思わずドキッとさせられるようなイオの明るい笑顔で。
今の私といる時間が、少しはイオにとって意味があればいいなと、密かに思ってしまっていた。