居候同期とフクザツな恋事情
ふと胸に浮かび上がってきた、なんだかふわんとした感情がこそばゆい。
スポンジをさらにぎゅーっと握りしめて、頭を左右に振っていると、運んできたマグを流しに置こうとしてくれていたイオが不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの、メェちゃん。頭でも痛い?俺、洗い物やるよ」
「え、うん……」
挙党不審な私から、イオがスポンジを奪う。
そのままぼんやり横で見ていたら、イオがスポンジでお皿をゴシゴシと洗い出した。
それから濯いで、食器乾燥用のラックに置いていってくれるけど。見た感じ、汚れが残っている。
「イオ、あのさ……」
せっかく手伝ってもらっているのに口を出すのはどうかと思いつつ、たまりかねて声をかける。
そのとき、イオが洗っていたマグを持つ手を滑らせた。
「あ、ぶない!」
反射的に手を出して、お皿の上に落下しそうになったマグを救出する。
マグもお皿も割れずにすんで、ギリギリセーフだったけど、危なかった。