居候同期とフクザツな恋事情
イオと一緒にパンケーキを食べに行って以来、私はときどきイオの分も含めて夕飯を自炊するようになっていた。
『今日は残業になりそうだから、ご飯は作れない』
昼休みにそんな連絡を入れておいたのだけど、その返事が今頃来たらしい。
この時間に連絡が来るということは、イオも残業してたのだろうか。
『まだ会社』
『帰れそうにない』
『残業して作ってたプレゼン資料のデータが消えた』
連続で3件メッセージしてため息を吐く。
そのとき、つかんでいたスマホが突然震え始めた。
びっくりして身体を起こすと、それはイオからの着信だったから、僅かに首を捻りながらスマホを耳にあてる。
「もしもし?」
「あ、メェちゃん出た。まだ会社にいるんだよね?」
「そうだけど」
「消えちゃったデータって、どんなやつ?」
どこか静かな廊下でも歩いているのか、イオの声と共に足音が響いて聞こえてくる。