居候同期とフクザツな恋事情
「大丈夫?たぶんうまくいったと思うけど、チェックしてもらっていい?」
「あ、う、うん」
イオに言われるままに確認すると、消えたと思ったプレゼン資料がほぼ復元できていた。
「ちゃんと戻ってる。すごいじゃん、イオ」
細かな部分で修正はいりそうだけど、ほぼ大丈夫。
なにもできないとか、滝宮さんに勝てるところは顔だけとか、いろいろ言っちゃったけど。
短い時間でこんなことできちゃうなんて、見直した。
やや興奮気味に振り向くと、イオが照れ臭そうに笑う。
「せっかく頑張って作った資料がやり直しなんてショックだろうし。少しは役に立ったみたいでよかった」
謙遜するイオに、なんだか複雑な気持ちになる。
少しは…、どころか、めちゃくちゃ助かったよ。
真剣に作業してくれてるときのイオの顔、いつもよりかっこよかったし。
「ありがとう、イオ!すごく助かったから、夜ご飯奢る。なんか食べて帰らない?」
デスクに手をついていたイオの腕を勢いのままにつかむと、彼が驚いたように目を瞬いたからなんだか気まずい空気になった。