居候同期とフクザツな恋事情


「大丈夫?たぶんうまくいったと思うけど、チェックしてもらっていい?」

「あ、う、うん」

イオに言われるままに確認すると、消えたと思ったプレゼン資料がほぼ復元できていた。


「ちゃんと戻ってる。すごいじゃん、イオ」

細かな部分で修正はいりそうだけど、ほぼ大丈夫。

なにもできないとか、滝宮さんに勝てるところは顔だけとか、いろいろ言っちゃったけど。

短い時間でこんなことできちゃうなんて、見直した。

やや興奮気味に振り向くと、イオが照れ臭そうに笑う。


「せっかく頑張って作った資料がやり直しなんてショックだろうし。少しは役に立ったみたいでよかった」

謙遜するイオに、なんだか複雑な気持ちになる。

少しは…、どころか、めちゃくちゃ助かったよ。

真剣に作業してくれてるときのイオの顔、いつもよりかっこよかったし。


「ありがとう、イオ!すごく助かったから、夜ご飯奢る。なんか食べて帰らない?」

デスクに手をついていたイオの腕を勢いのままにつかむと、彼が驚いたように目を瞬いたからなんだか気まずい空気になった。


< 143 / 240 >

この作品をシェア

pagetop