居候同期とフクザツな恋事情


「あ、ごめん。データが復元してテンションあがっちゃったから、つい」

言い訳しながらそっとイオの腕を離すと、彼が焦げ茶の目をふっと細めて優しく笑いかけてきた。


「メェちゃんの奢りじゃなくていいから、ふつーにご飯行かない?俺もちょうど腹減ったし」

「あ、うん。すぐ片付けるね」

今度こそ、間違えて消したりしないようにデータをしっかり保存してから、パソコンを閉じる。


「なに食べる?メェちゃんたちが飲みに行くときって、いつもどこの店行くの?」

私のデスクに軽く凭れたイオが、スマホで検索をしながら訊ねてくる。

帰る準備を整えて、横からイオの手元をそっと覗き込むと、彼のスマホに近隣の飲食店の地図がいくつか表示されていた。


「同期で飲むときは、よくここ使うかな。絢子との女子会だったから、こことかここ」

「こんなとこあるの知らなかった。雰囲気良さそう」

「イオたちはどこ行くの?」

「システム開発の男だけで飲みに行くときは、こことか。飲み放題が安くて、料理の味はふつーだけど、量多め」


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