居候同期とフクザツな恋事情
◇
「あー、美味かった」
「でしょ?明日もまだ仕事あるのに、ちょっと飲み過ぎちゃったー」
イオと一緒にご飯を食べて店を出た私の頭と身体は、ほんの少しだけふわふわとしていた。
この前松野くんと一緒に飲みに行ったときもそうだったけど、男の人とふたりで食事するときは緊張して食べるのも飲むのもセーブしてしまう。
だけど、イオだと余計な気遣いがいらないせいか、普段よりも多めにお酒を飲んでしまった。
「よかったね、家同じで」
途中で車道側にふらっとよろけかけた私の腕を、イオが笑いながらつかんで引っ張る。
「大丈夫。そんなに酔っ払ってないよ」
ムッとしながらイオの肩を押しやろうとしたとき、数メートル先のレストランから会社帰りの格好の滝宮さんが出てくるのが見えた。
「あ、れ。滝宮さん」
一度は押し返しかけたイオの腕をぐっとつかむと、私に引き寄せられたイオが微妙そうに顔を引き攣らせる。