居候同期とフクザツな恋事情
地下に続く階段の下にあるその店は、同僚と気軽に食べに行くというよりも、ちょっとオトナな男女がデートで利用するようなイタリアンレストランだ。
滝宮さんは、階段を登り切ったところで振り返って、あとから来る誰かを待っている。
「まさか、美玲もいたりして」
お酒が入っているのもあり、突然弱気になるイオに少しイラッとした。
「それ、イオが気を遣う必要なくない?永田さんだって、イオと一緒に住んでたのに同時に滝宮さんとも付き合ってたのかもしれないんでしょ」
「そうだけど」
「追い出されたことは、会社の寮扱いの彼女の家に住んでたんだから仕方ないにしても。もし永田さんが出てきたら、『浮気してただろ』って、イオのほうが乗り込んでいいくらいじゃん」
「いや。さすがに滝宮さんの目の前でそれはちょっと……」
イオが微妙そうな笑みを浮かべて首を横に振る。
そのことに、私はまた少しイラッとしてしまった。