居候同期とフクザツな恋事情
「わかった。行こう」
イオの腕に腕を絡めて前へと歩き出そうとすると、イオが慌てたように私を引き止めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ。メェちゃん。今前に歩いて行ったら、確実に美玲たちと鉢合わせる……」
「もしそうなったら、私のこと『新しいカノジョだ』とでも言ってやればいいよ。そのくらいの茶番には付き合ってあげる」
「メェちゃん……」
「だから、イオがひとりで遠慮することない」
もう一度絡めた腕をグッと引っ張ると、イオが困ったように笑った。
「なんかメェちゃんって、たまにすごくかっこいいよね」
「なにそれ」
仮にも女子に対して、このタイミングでその評価はどうなの?
私なんかより見た目がずっといいイオにそんなこと言われても、全然嬉しくないんだけど。
ジトっと横目でイオを睨んだとき、急にイオの顔から表情が消えた。
あー、やっぱり永田さんが出てきちゃったか。