居候同期とフクザツな恋事情


「プリンよりも、メェちゃんのほうが元気出る」

私の肩に顔を埋めたイオが、そう呟いて、ぎゅーっと強く抱きしめてくる。


「ちょ、イオ……」

それ、どういう意味────?

イオに抱きしめられたまましばらく動けずにいると、不意に私の背中に回されていた彼の腕から力が抜けた。

「え?」と呟いた私の肩から、イオの顔がずるりと滑って身体が傾く。


「イオ?」

咄嗟に腕を出したけれど、重たいイオの身体は支えきれず。私の腕をすり抜けて、どすんと布団に倒れてしまった。


「だ、大丈夫?」

突然倒れたイオに焦ったけれど、どうやらただ眠ってしまっただけのようで。布団の上で、すやすやと気持ちよさそうな寝息をたてている。


何これ。

期待させるようなこと言って抱きしめてくるから、死ぬほどドキドキしたのに。

ただ酔っ払って、私に寄りかかって寝ちゃっただけ……?

ひどい。最悪。あり得ない。

イオの寝顔を睨みながら心の中で散々罵ってみたけれど、抱きしめられたときのイオの熱を思い出したら、心臓がドクドクと暴れ出してしまう。


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