居候同期とフクザツな恋事情
「そうだよね。ごめんね、すっかりメェちゃんに甘えてて」
しばらくして、困ったようにへらっと笑ったイオを見て、ついキツい言葉をかけてしまったことに後悔した。
本音を言うと、最初に提示した居候の期限なんてもうどうでもよくなっている。
きっちり2ヶ月で追い出そうとも思ってない。
つい強く言ってしまったのは、一緒に居てもぶつけられないイオへの気持ちのやり場がないからだ。
永田さんを今も想っているがしれないイオに、私が間違っても気持ちなんて伝えてしまえば……
私たちは気まずくなって、イオはまた居場所がなくなる。
だから、イオがこの家にいるあいだは、何としても気付いてしまったこの気持ちは隠し通さないといけない。
「私、今日用事があるから出かけてくるね」
すっかりしょげてうつむいているイオの旋毛を見つめながら、つぶやく。
出かける用事なんて本当はなかったけど、その週末は土日とも、イオとなるべく顔を合わさないように過ごした。