居候同期とフクザツな恋事情
◇
イオに対して気まずい気持ちを抱え始めてから一週間。
自分の気持ちをイオに気付かれないようにするために、不自然なくらいにフレンドリーに接してみたり、敢えて素っ気無い態度をとってみたり。いろいろやってみたけど、私に対するイオの態度はあまり変わらない。
朝は相変わらず寝起きが悪いし、私の前ではマイペースでにこにこしてるし。私の作ったごはんをいつも美味しそうに食べている。
私ばかりがイオの言動にそわそわさせられるばかりで、イオは私の気持ちの変化になんて全く気付いていなかった。
「ただいま」
「おかえりー」
数日ぶりに残業して家に帰ってきたら、その日はもうイオが先に帰宅していた。
部屋の奥からイオの声が聞こえてきて、仕事の疲れがちょっとだけ癒されるような気がする。
「イオ、もうご飯食べた?私、これから冷凍のパスタあっためるけど……」
「うん、今日は帰りに同期と軽く食べてきた」
ダイニングに姿の見えないイオを探して、仕切り戸の向こうを覗き込む。