居候同期とフクザツな恋事情




イオに対して気まずい気持ちを抱え始めてから一週間。

自分の気持ちをイオに気付かれないようにするために、不自然なくらいにフレンドリーに接してみたり、敢えて素っ気無い態度をとってみたり。いろいろやってみたけど、私に対するイオの態度はあまり変わらない。

朝は相変わらず寝起きが悪いし、私の前ではマイペースでにこにこしてるし。私の作ったごはんをいつも美味しそうに食べている。

私ばかりがイオの言動にそわそわさせられるばかりで、イオは私の気持ちの変化になんて全く気付いていなかった。


「ただいま」

「おかえりー」

数日ぶりに残業して家に帰ってきたら、その日はもうイオが先に帰宅していた。

部屋の奥からイオの声が聞こえてきて、仕事の疲れがちょっとだけ癒されるような気がする。


「イオ、もうご飯食べた?私、これから冷凍のパスタあっためるけど……」

「うん、今日は帰りに同期と軽く食べてきた」

ダイニングに姿の見えないイオを探して、仕切り戸の向こうを覗き込む。


< 171 / 240 >

この作品をシェア

pagetop