居候同期とフクザツな恋事情
「お土産、買ってきてよ。大阪だったら、焼きたてチーズケーキがいいなー。おじさんの絵のふわふわのやつ」
「何それ?」
複雑な胸のうちを誤魔化すようにそう言ったら、イオが私を見上げてコテっと首を横に傾けた。
「知らない?これだよ。前、大阪の親戚が買ってきてくれたんだけど…有名なんだって」
スマホを取り出すと、ドキドキしながらイオの前にしゃがむ。
スマホを前に出すと、イオが私のほうに顔を寄せてきた。
「あー、なんか見たことあるかも」
「新大阪の駅では焼きたて買えるっぽいよ」
既には部屋着に着替えているイオからは、お風呂上がりのいい匂いがする。
そのせいで、より近くにイオを感じて、なおさらドキドキとした。
「じゃぁ、これ買ってきてあげるから、寂しがらずに待っててね」
「寂しくないってば」
至近距離でにこっと笑うイオに強く否定したら、彼が焦げ茶の目を細めて私をじっと見てきた。