居候同期とフクザツな恋事情


「お土産、買ってきてよ。大阪だったら、焼きたてチーズケーキがいいなー。おじさんの絵のふわふわのやつ」

「何それ?」

複雑な胸のうちを誤魔化すようにそう言ったら、イオが私を見上げてコテっと首を横に傾けた。


「知らない?これだよ。前、大阪の親戚が買ってきてくれたんだけど…有名なんだって」

スマホを取り出すと、ドキドキしながらイオの前にしゃがむ。

スマホを前に出すと、イオが私のほうに顔を寄せてきた。


「あー、なんか見たことあるかも」

「新大阪の駅では焼きたて買えるっぽいよ」

既には部屋着に着替えているイオからは、お風呂上がりのいい匂いがする。

そのせいで、より近くにイオを感じて、なおさらドキドキとした。


「じゃぁ、これ買ってきてあげるから、寂しがらずに待っててね」

「寂しくないってば」

至近距離でにこっと笑うイオに強く否定したら、彼が焦げ茶の目を細めて私をじっと見てきた。


< 174 / 240 >

この作品をシェア

pagetop