居候同期とフクザツな恋事情
もし家に帰ってイオがいなかったら……
そのことを考えると、ものすごく怖い。
私は買い物袋を握り直すと、駅周辺をしばらくぶらぶらとした。
駅前の本屋さんで買う気もない雑誌や本を物色して、そのあと悩みに悩んだ末に、駅前のコーヒーショップに入った。
入店してすぐ目に付いた壁の時計の針は、もうそろそろ22時を指そうとしている。
営業終了時間がそろそろ迫っているせいか、昼間や休日は混んでいる店内の客はまばらだった。
ほとんど品切れているショーウィンドウの菓子パン類を眺めながら、空腹を思い出す。
せっかく、カレーを仕込んだのにな。
持っている買い物袋の中には、福神漬け以外にパンとお菓子が入っているけれど……
コーヒーショップで持ち込みのものは食べられない。
やっぱり、覚悟を決めて家に帰ろうかな。
お店のドアを入ってすぐのところに立ったまま葛藤していると、レジのショップ店員が注文を催促するようにちらちらと見てきた。