居候同期とフクザツな恋事情


「そうなんだ?俺はてっきり、メェちゃんに見られちゃったのかと思ったんだけど。俺が美玲と一緒にいたところ。違った?」

「……」

通話中の私たちの間に、しばらく微妙な沈黙が流れる。

すぐ否定できなかった時点で、イオの質問を肯定したようなものだ。


「メェちゃん、今どこにいるの?」

「駅前……」

コーヒーショップの名前を告げると、スマホの向こうでイオの周囲の空気が揺れた。


「迎えに行くね」

「私、自分で帰れる……」

「ダメ、もう遅いから。そこで待ってて。迎えに行く」

珍しく強いイオの口調に何も言い返せずにいるうちに、電話が切れた。



< 187 / 240 >

この作品をシェア

pagetop