居候同期とフクザツな恋事情


落ち着かない気持ちで待っていると、15分もしないうちにイオがコーヒーショップにやってきた。

イオが店に入ってきたことに気付きながらも、どんな顔で彼を迎えたらいいのかわからない。

さっきの電話での会話のあとで、何もなかったみたいに笑いかけるのもたぶん変だし。

かといって、ケンカしたわけでもないのに不貞腐れたり拗ねたりするのもおかしい。

私が一方的に気まずくなって、逃げ出してきただけなんだから。

黙って座っていると、きょろきょろと店内を見回していたイオが私に気が付いて笑いかけてきた。

その笑顔に、一瞬ドキリとする。

私はこの15分間、ドキドキしながら複雑な気持ちでイオのことを待っていたのに。

私を見つけて当たり前みたいに手を振るイオの笑顔を眩しい。

それもそうか。だって、イオにとっての私はただの同居人なんだから。


「メェちゃん、帰ろう」

私のそばに歩み寄ってきたイオが、声をかけてくる。

上のほうから聞こえてくるその声に無反応でいたら、イオが私の手をつかんでそっと引いた


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