居候同期とフクザツな恋事情
「それで、永田さんは滝宮さんと別れるかもしれないってこと?」
「今のところ、それはないんじゃないかな。美玲、ほんとは俺と付き合い出す前から滝宮さんに憧れてたみたいだから……」
「でも、滝宮さんは結婚を考えてた元カノと繋がってるかもなんでしょ。奪い返すなら今がチャンスじゃん。永田さんのところに戻れたら、家探しだってしなくてよくなるし」
イライラしているせいで、つい感情的になってしまう。
嫌味な言い方をしたら、イオが私を見つめて困ったような顔をした。
「俺、美玲のとこに戻ろうとか奪い返すとか、もうそんなの全然考えてないよ?ただ、帰り道に相談聞いた、ってだけで────……」
「マンションの下で抱き合って?」
イオの話を遮って、繋がれたままの手を思いきり振り払う。
眉間にぎゅっと力を入れて睨みあげると、一瞬ぽかんとした顔を浮かべたイオが、すぐに気まずげに目を伏せた。
「あぁ、そっか。それ見られて……」
実際には、互いに抱き合ってたとこを見たわけじゃない。
イオはただ、永田さんに抱きつかれていただけ。
そのあとイオがどうしたかまではわからないけど、目撃した私の心が受けたダメージはどっちだって同じようなものだ。