居候同期とフクザツな恋事情
「あと15分メェちゃんが待ってくれたら、一緒に行けるんだけど」
耳の後ろにぴょこんと外跳ねの寝癖をつけているくせに、そんなの相殺するくらいの甘い笑顔でイオが誘惑してくる。
そんなこと言われたら、あと15分待っちゃうんだけど……
誘惑に抗えずに、こてんと頷いてしまう。
「やった。じゃぁ、急ぐ」
にこっと嬉しそうに笑ったイオが、立ち上がりざまに私の頭をぐしゃりと撫でる。
着替えを持ってバタバタとバスルームに移動するイオの背中を見送りながら、私はここまでの一連の流れを思い出して茫然としていた。
どうしよう。早く出勤して仕事を片付けるどころか、これじゃ午前中の仕事が手につくかどうかも怪しい。
イオに撫でられた頭に触れながら、支度のできた彼に呼ばれるまでずっとドキドキとしていた。