居候同期とフクザツな恋事情
8.ずっと、これから。
キッチンのほうからなんだか焦げ臭い匂いがするような気がして、寝起きのぼんやりした頭が一気に覚醒した。
はっとして隣を見ると、イオがいない。
ベッドの下に置かれた布団にも、イオの姿はなかった。
これは絶対に……
焦げ臭くなるようなことをしたのは、イオに違いない。
起き上がってダイニングに続く仕切り戸を開けたら、イオがフライパンの中身をダイニングテーブルに並べたお皿に移し替えようとしていた。
「あ、メェちゃん。おはよう」
イオの言葉とともに、おそらく目玉焼きらしきものが、お皿の上にぽとんと落ちる。
「メェちゃん、よく寝てたから、たまには早起きして朝ご飯作ろうかと思ったんだけど……目玉焼き、失敗しちゃった」
焼き過ぎくらいにこんがり茶色のトーストの横に添えられた目玉焼きは、黄身が崩れた状態でしっかりと固まりすぎるくらいに固まっている。
焦げ臭い原因はこれだったみたいだけど、どうやらそれ以外の被害はなさそうで安心した。