居候同期とフクザツな恋事情


床にごろんと転がされた仲林くんが、「んー」とまだ眠たそうに唸る。

そろそろ蹴飛ばしちゃってもいいかな。

なかなかお目覚めにならない仲林くんに対して本気で足を出しそうになったとき、彼が目を擦りながらつぶやいた。


「んー、み、れい?」

どうやら、仲林くんはここを元カノジョの部屋と間違えて寝ぼけているらしい。

まぁ、間取りはほぼ同じだろうから仕方っていえば仕方ないけど。

日曜の夜遅くに人の家に押し入ってきたうえに、翌朝まで私に手間をかけさせてくるとか。

なんだか、ものすごーく腹立たしい。

本当なら、昨日の夜は、飲み会での松野くんとの余韻に浸って眠り。今朝は明るく爽やかな気持ちで出勤できるはずだったのに。


「大人なんだから、起こされたらちゃんと起きなさい!」

ここ最近で一番というくらいの声量で怒鳴って、未だに床で目を擦っている仲林くんの頬を軽くピシャリと叩く。


「いっ、た」

打たれた頬を押さえながら情けない声を出す仲林くんを呆れ顔で見下ろす。

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