居候同期とフクザツな恋事情
やっと目覚めたか。
そう思って仲林くんから離れようとしたら、彼がいきなり私の腕をつかんだ。
「なんか美玲、今日はやけにらんぼー……」
拗ねたような仲林くんの声が耳元で聞こえて、私の視界が反転する。
気付けば、見下ろしていたはずの仲林くんをなぜか見上げるカタチになっていて。彼の背景が床ではなくて、天井になっている。
髪に変な寝癖をつけた仲林くんは、それでも、ムカつくけど起き抜けでもイケメンだった。
「あ、れ?」
そんな彼が私を困ったように見下ろして、コテっと横に首を傾ける。
その仕草をちょっとだけ可愛い、なんて思ってしまった自分がまた腹立たしくて。
「えっと。在原、さん?」
まるで今初めて出会ったみたいに私の名前を呼んだ彼のお腹に華麗なパンチを繰り出すまでに、それほど時間はかからなかった。
「ほんっとに、いい加減、起きろ」
「う、お、おはよう、ございます……」
楽しい気分で出勤する予定だった月曜日の朝。
仲林くんの呻き声が、私の部屋に響き渡った。