居候同期とフクザツな恋事情
◇
イオが注文した布団が届くという日。
いつもより早めに帰宅しようとしたら、松野くんに声をかけられた。
「在原、来週の土曜日の夜って何か予定ある?」
「来週の土曜日?」
「うん。ちょっと急なんだけど」
申し訳なさそうに眉を寄せながら小さく首を傾けた松野くんの仕草にキュンとする。
まさかこれは、週末のデートのお誘い…とか?
「大丈夫、空いてるよ」
期待しながら食い気味に頷いたら、松野くんがほっとしたように表情を緩めた。
「よかった。こないだ、俺らだけで坂部の結婚祝いをしたじゃん?そのことをデスクが近い人たちに話してたら、真希子さんとか滝宮さんが『なんで声かけなかったんだー』って騒ぎだしちゃって……『俺らも祝いたいから、飲み会セッティングしろって言うんだよね」
「そう、なんだ……」
「それで、来週の土曜日ならみんな予定合うみたいで。在原も空いててよかった」
苦笑いを浮かべる松野くんの話は、みごとに期待ハズレだった。
そのうえ、他のメンバーの予定ありきでの私への予定確認だったことが、さらに私を落胆させる。