居候同期とフクザツな恋事情
デスクに戻った松野くんは、近くに座る真希子さんや他の先輩たちに声をかけられて、楽しげな話で盛り上がり始めている。
しばらく松野くんのことをそっと見つめていたけれど、先輩たちとの会話に夢中になっている彼はもうこっちを振り向きそうもなかった。
イオからの着信がなければ、もうちょっと松野くんと話せたかもしれないのに。
イオを恨むわけじゃないけど、タイミングの悪さにため息が溢れる。
そのとき、スマホが震えてメッセージが1件届く。
それは、私の送ったスタンプに対するスタンプのお返しだった。
泣きながら手を握り合わせているそれを冷めた気持ちで数秒見つめてから、静かにオフィスを後にした。