居候同期とフクザツな恋事情
「はい、これ」
思わず顔が火照りそうになるのは私だけで、イオはなんでもなさそうにコントローラーをひとつ手渡してくる。
イオはまだ永田さんのことが好きなんだろうし。私のことなんて何の意識もしてないからこんなふうに転がり込んできて寛いでいるのだろうけど。
私のほうは、イオが異性っていうこととその見た目の良さに全く意識せずにいるというのが難しくてちょっと悔しい。
私だって、気になってるのは松野くんだし。
心の中で言い聞かせるようにつぶやいて、イオから乱暴にコントローラーを受け取る。
そんな私を数秒不思議そうに見つめたイオだったけれど、彼の意識はすぐにテレビ画面に移動した。
「どのコースにする?」
「どれでも。ていうか、私、割と強いと思うよ。昔から、兄と弟と張り合ってたし」
「メェちゃん、3人きょうだいなの?」
「そう。兄と弟に挟まれた3人きょうだいの真ん中っ子」
「3人きょうだい、いっしょだ。俺は、上にふたり姉ちゃんいるよ。一番上とは8歳離れてる」
イオ、末っ子長男なのか。