居候同期とフクザツな恋事情
「あー、くそ。2連敗」
「だから言ったじゃん。強いって」
「俺だって、そこそこ強いはずなのに」
イオがコントローラーを投げ出して、悔しそうにごろんと布団にひっくり返る。
私とイオの実力はほとんど互角だったけど、ほんの少しだけ私のほうが強かった。
「もうやめる?」
笑いながら訊ねたら、天井を仰いでいたイオが不意に私をじっと見てきた。
「メェちゃん、なんか腹減らない?」
「え、そう?」
空腹を訴えるだけのくせに、二重の大きな焦げ茶の瞳の目力がやたらと強い。
「何か軽く食べられるもの、あったかな……」
考えながら立とうとしたら、イオが私の手をつかまえて引きとめた。
「コンビニ行かない?からあげ食べたい」
「えー、今から?」
もうすぐ23時を回るというのに。それに、私はこんな遅い時間に脂っぽいものは食べたくない。
あからさまに面倒臭そうな顔をしたら、イオが拗ねたように唇を尖らせた。