居候同期とフクザツな恋事情



「いーじゃん、行こうよ。ひとりで行ってもつまんないし」

「だからって、誰かと行ってすごい楽しいってわけでもないでしょ」

寂しがりかっ!と内心呆れていると、イオが私から僅かに視線を逸らした。


「それに、もし万が一この前みたいに美玲に鉢合わせるようなことがあったら気まずい」

ぼそりとつぶやくイオの声を聞きながら、そういえばうちに居候し始めた2日目くらいに、偶然永田さんとエントランス前で鉢合わせてストーカー扱いされた、という話を思い出した。


「あれからは鉢合わせてないの?」

「駅降りてから、周りにすげー気を付けながら帰ってるから」

「ふーん」

まぁ、もし次に彼女と鉢合わせたら今度こそ確実にストーカー認定されちゃうかもしれないよね。


「でも、もう遅いし永田さんだって外に出てないでしょ」

「夜遅くに出ていくことはないけど、友達とごはん食べるからって日付変わるくらいに帰ってくることはこの頃よくあった」

「へぇ」

それって、彼女が新しく好きになって人と会ったりしてたからなのかな。

一瞬そんな考えが脳裏を掠めたけど、イオが不憫なので口には出さないであげておくことにした。


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