居候同期とフクザツな恋事情


「あれ、もしかして……」

イオの元カノの永田さんと、それからうちの海外事業部の滝宮さん……?

遠目だけれど確かに知っているそのふたりの横顔に、はっと息を飲み込んだとき。

私とイオの目の前で、姿勢を少し低くした滝宮さんと永田さんの影がひとつに重なった。

そうしてそれが、またゆっくりとふたつになる。


永田さんにできた好きなひとって、滝宮さんのことだったんだ……

私の肩に未だ腕を回したまま、イオの表情が強張るのがわかる。


あぁ、これは。なんていうか。

だいぶショックが大きいだろうな。

なんて声をかけてあげるのが正解なのか。私にもちょっとわからない。


滝宮さんが立ち去って、永田さんがマンションのエントランスの向こうに消えてしまっても、イオはまるで銅像にでもなったみたいにピクリともしない。


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