居候同期とフクザツな恋事情
4.気になるのに、心配なのは。
永田さんと滝宮さんのキス現場を目撃してから、イオはずっと元気がない。
職場では普段どおりに装っているのか、昨日の昼休みに社員食堂で見かけたときは、同僚とご飯を食べながらにこにことしていたけれど。
家にいるときのうわの空度がものすごい。
さっきだって私がキッチンで洗い物をしていたら、のろのろとやってきたイオが、まだフタの開いていないカップ麺に電気ケトルで沸かしたお湯をぶっかけようとしていたから、慌てて止めた。
まぁ、通常運転なイオもいろいろと難ありだけど。それにしたって……
今も、デザート用にもらってきたらしいコンビニのスプーンを箸と間違えてカップ麺に突っ込みかけているイオを、私はこれ以上ないくらいの呆れ顔でジッと見つめる。
「別に止める気はないんだけど。それじゃ、麺は食べられないんじゃない?」
私につっこまれたイオが、はっとしたように顔をあげた。
「あ、ほんとだ。ぼーっとしてた」
へらり、と笑ったイオが、スプーンを箸に持ち替える。