赤い毒は愛の証
「何……これ……」

雪の喉が焼けるように熱くなっていく。身体中を針で刺されているかのような痛みと不快感が襲い、雪は誉を見つめた。

「た、たすけて……」

この痛みや苦しみはただ事ではない。すぐに病院に連れて行ってほしいと雪は誉に手を伸ばす。しかし、誉は雪を微笑みながら抱き締めたまま動かない。

「なん……で……?」

こんな時になぜ笑っていられるのか、雪は混乱していた。痛みはどんどんひどくなっていく。そんな中、誉が口を開いた。

「やっと効いてきたんだね、タルト・タタンに仕込んだ毒」

「ど、く?」

誉の言っていることが理解できず、雪の体が震える。誉は雪の頭にキスをし、とろけた目を向けた。

「俺ね、君を初めて見た時から思ったんだ。こんなに美しい人はきっと死体になっても美しいんだろうなって。俺、綺麗な死体をコレクションするのが好きなんだよね〜。まあ、人間をコレクションにするのは初めてだけど」
< 8 / 10 >

この作品をシェア

pagetop