その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
年下部下と新入社員
I
「れーこさん、れーこさん」
スマホのアラームが鳴るよりも随分早い時間に、広沢くんが耳元で甘くささやく声で目が覚める。
「れーこさん、起きて」
薄らと目を開けると、私の枕元に片手をついた広沢くんがもう片方の手で私の頬に触れようとしていて。それを見ないように、私はまた目を閉じた。
「れーこさん、朝ですよ?」
「まだ起きるには早いでしょ」
頬に触れようとする手を払い除けようとすると、広沢くんが私の手をつかまえる。
手の甲を唇に押し付けた彼は、それからゆっくりと弄ぶように私の手の指ひとつひとつに舌を這わせていった。
目を閉じたまま堪えていた私が、つい反応して小さく肩を揺らすと、そのことに気付いた彼が調子に乗って私に少し体重をかけるようにして覆い重なる。
「れーこさん、起きて?」
掠れた声で愛おしげに私を呼ぶ彼が、今度は首筋にキスを落とし始めた。
Tシャツの裾を巻くって入ってきた手がお腹を滑って、その指先が下へと伸びてくる。
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