その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「広沢さーん、行きましょうよー」
スマホを持ったまま立ち止まっている広沢くんを見ていると、可愛く甘えるような声が聞こえてきた。
広沢くんの横からひょこっと姿を現したのは新城さんで、彼に話しかけながらさりげなく腕を絡めている。
そのまま新城さんに引っ張られるようにして店を出て行った広沢くんは、私を振り返らなかった。
送ったメッセージにも、ずっと既読が付かず。ようやくそれが確認できたのは、大森くんと分かれて家に着いた私が、待ちくたびれて、眠りにつく前だった。