その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―


大森くん、広沢くん、菅野さん、それから私という妙なメンバーで向かったのは、菅野さんオススメの中華料理のお店だった。

ランチセットが美味しくてボリュームがあって、値段もお得だという。

4人でランチを食べたけど、そのことでメンバーの親睦が深まったのかも、盛り上がったのかも私には正直よくわからない。

ただ、大森くんがひとりでよくしゃべっている印象で。誰も聞いていないのに、広沢くんと菅野さんに自分の結婚の予定を嬉しげに話していた。

そのおかげで、私が何も言わなくても、昨夜の誤解は解けたと思う。

大森くんの結婚の話を聞いた菅野さんが、なんだかガッカリしたように私のことをチラッと見てきたことで、少し笑えた。


ランチを済ませてデスクに戻った直後、足元に置いたカバンの中でスマホが震えた。

仕事を始める前にそれを確認すると、広沢くんからメッセージが届いていた。


ランチのとき、広沢くんは必要以上に私に話しかけてこなかった。

それに、昨夜の話もまだちゃんとできていないから、メッセージを読むのを躊躇してしまう。

< 131 / 218 >

この作品をシェア

pagetop