その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―


「れーこさ、……」

「大丈夫。ゆっくり考えて」

不安げに私を呼ぼうとする広沢くんを、笑顔でそっと優しく突き放す。

大丈夫。もしもこれで、この恋が壊れることになっても。

私はちゃんと、冷静に、上手に突き放すことには慣れてる。

先にひとりでマンションへと歩いていく私を、広沢くんは追いかけては来なかった。

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