その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―





オフィスの会議室。

私は企画部に配属されることになったふたりの新入社員に、1時間ほどかけて仕事内容の説明をした。

まだ学生っぽさの抜けない純粋そうな瞳がキラキラとこちらを見ていると、なんだか私の気持ちも引き締まる。

新入社員への説明が終了する10分くらい前に、企画部長が広沢くんを連れて様子を見にやってきた。

最後に企画部長からの挨拶と説明があって、それから広沢くんが教育担当としてふたりの新入社員に挨拶をする。

秦野さんがいないので広沢くんに聞くと、会議室に向かう直前に取引先からの電話がかかってきて、その対応をしているとのことだった。


「質問がなければ、さっそく業務の手伝いをしてもらいましょうか?」

私が声掛けすると、新入社員のふたりが立ち上がった。


「私は会議室を片付けてカギを事務所に返してから戻るから。企画部長から広沢くん、ふたりの案内をお願いできますか?」


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