その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
食事を終えて車に乗り込むと、運転席に座った広沢くんが助手席の私のほうに身を乗り出してきた。
暗がりの中、広沢くんの瞳が蠱惑的に光るのがわかって目を閉じる。
すぐに彼の唇が落ちてきて、静かな車内に甘いキスの音が響き渡る。
車の座席ごと後ろに倒されてしまいそうな勢いで、何度も唇を重ね合わせたあと、広沢くんが私の額にコツンと額をぶつけてきた。
「ほんとはどうしようかなーって迷ってたんですけど、やっぱり車で来といてよかった」
広沢くんが、額をくっつけたまま、クスリと笑って私の頬を撫でる。
「せっかくレストラン予約したし、れーこさんとお酒飲むほうがいいかなーとも考えたけど。プロポーズの返事もらったあとに、れーこさんに触るの我慢するのはムリだろうなーって」
「え?」
「やっぱりムリだったから、お酒のほう我慢してよかったです」
散々キスしたあとの唇に、広沢くんがリップ音をたてて軽いキスを落とす。