その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
II
「礼ちゃん、広沢くん、いらっしゃい。待ってたよー」
日曜日の午後。広沢くんを連れて実家に行くと、姪の乃々香が玄関まで走ってきてくれた。
「こんにちは。乃々香ちゃん、ひさしぶり。元気だった?」
「うん、元気。しょーくんも、ちょっとだけハイハイで前に進めるようになったんだよ」
ひさしぶりに広沢くんと顔を合わせた乃々香は、嬉しそうににこにこと彼のことを見上げている。
「しょーくん?」
「あ、うん。妹のところの下の子」
「あ、そっか。もうそんなに大きくなってるんですね。て言っても、会ったことはないけど」
「礼ちゃんも、広沢くんも、早くあがりなよ」
玄関先で話していると、乃々香が私と広沢くんの手をそれぞれの片方ずつとる。
「パパー、ママー、おじーちゃーん!礼ちゃんたち来たよー」
はしゃいだ声で他の家族を呼ぶ乃々香に引っ張られるようにして、数ヶ月ぶりの実家に上がった。