その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「私も……」
涙が込み上げてきそうになるくらい、胸の奥が熱くて。なんとか紡ぎ出した声が震えた。
「わかってる」とでも言いたげに、口端を引きあげた広沢くんが、両頬を包む手のひらで私の顔を上へと向けさせる。
「れーこさん、好き」
「う、ん……」
声を詰まらせた私の気持ちは、それをうまく言葉にできなくてもきっと広沢くんに見抜かれている。
そっと近付いてきた広沢くんの唇が、私のそこに重なる。
いくつも年が下の彼にこんなに甘えていて大事なのかと思うけど……
広沢くんはそのことまで承知のうえで、私に指輪をくれたのだ。
そんなふうに自惚れられるくらい、私は広沢くんのことが好きで。彼が私に注いでくれる『好き』の気持ちを信じてる。