その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
秦野さんと新城さん。おそらくふたりは、性格とか考え方のタイプが似てる。
さらには、ふたりとも広沢くんのことを気に入っていて、男の人の好みまで似ているみたいだし。
「広沢くんに、ひとつお願いがあるんだけど」
「何ですか?」
目の前の広沢くんをジッと見ると、彼が不思議そうに首を傾げた。
「同期として、近いうちに秦野さんと話してみてくれないかな」
「ミーティングルームにわざわざ呼び出してですか?」
「うーん。それだと仰々しいし、仕事帰りに飲みに誘うとかどう?広沢くんの励ましやアドバイスだったら、秦野さんも受け入れやすいと思うの」
自分としてはいい考えだと思ったのだけど、私の提案に広沢くんが顔を顰めた。
「だめ?」
「ダメではないですけど……」
広沢くんが乗り気ではなさそうな声でそう言って、私を抱きしめていた腕をほどく。
言葉を濁すところをみると、どうやらあまりいい案ではなかったらしい。