その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―



「碓氷さん、おはようございます」

「あ、おはよう」

新入社員の歓迎飲み会の数日後。

勤務開始前にコーヒーを淹れたくて給湯室に行くと、同じ目的でそこにやってきた桐谷くんに声をかけられた。


「桐谷くんもコーヒー?」

「あ、はい。皆さんの真似して、マイカップを持ってきてみました」

桐谷くんが手にしていたマグカップを胸の前まで持ち上げて笑う。


「デスクにコーヒー置いて仕事してると、なんか仕事できるようになった感じしますよね」

「そう?」

桐谷くんの発言が可愛くてつい笑ってしまう。


「碓氷さん、桐谷くんおはようございます」

桐谷くんと話しながらドリップコーヒーを淹れていると、菅野さんが給湯室に入ってきた。


「あ、おはよう」
「おはようございます」

挨拶を返すと、菅野さんも自分のマグカップを取り出してコーヒーを淹れる準備を始める。

私の隣に立った彼女は、マグカップにドリップコーヒーのフィルターをセットするとおもむろに口を開いた。

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