その瞳に涙 ― 冷たい上司の甘い恋人 ―
「わかりました」
「通常の業務に加えて、少し忙しくなるけど。しばらくの間、よろしくね」
「了解です。あ、午後からの会議室での新人研修、俺らも顔出したほうがいいですか?」
「時間があったらで大丈夫。新入社員の子たちは、こっちに戻ってきてからふたりやみんなに紹介するから」
「あ、新入社員の子たち、午後から配属されてくるんですよね?」
秦野さんの向かいのデスクに座っている秋元くんが、私たちの話を聞いてちょっと身を乗り出してきた。
「そうよ。秋元くんも席が近いから、何かあったらフォローしてあげてね」
「わかりました」
私に向かって頷いた秋元くんが、そのあと広沢くんに視線を向ける。
「そういえば、広沢さん。本社の人事にいる同期から回ってきた話なんですけど。うちの企画部に配属されることになった新入社員の女の子、すげー可愛いらしいですよ」
秋元くんはそう言うと、広沢くんのことを見ながらニヤニヤと笑った。