復讐の華
多分それほど飛鳥と距離が近くなかった瞬は、ただ静かに話を聞いているだけでいつもと変わった様子は無かった。
美穂の支えもあるだろう。
伊織は…よく分からない。険しい表情が怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えた。
飛鳥には、彼も心を許していたのだろうか。私には近寄って来る気すらしないのだけれど。
來がいなくなったこの部屋で、誰も言葉を口にしようとはしなかった。
総長が言ったことが全てだ、ということか。
少し時間を置いて、私は彼の後を追った。
まだ5月の夜は冷える。こんな話をしていたのに空には雲一つなく、命を燃やす星が光って見えた。