復讐の華

「來」


シャツ1枚で外に出た來へジャケットを手渡し、隣へ並ぶ。


私の姿を見て、彼は力無く笑ってみせた。


死んだ人は空から見守っていると、よく言われるけど。もしも飛鳥が今の私を見ていたら、何を思うんだろう。


「來は…、まだ飛鳥さんのことを好きなの?」


酷い質問だと分かっていて、問い掛ける。


聞かずにはいられなかった。それほど彼は、自分を責めているように見えたから。


「いや…」


小さく苦笑して、來は遠くの方を見た。


「俺、その写真を見たとき、やっぱりって思ったんだ」


真意が分からなくて彼の顔を見る。その視線の先に、あの子を映しているのだろうか。


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