復讐の華

テラスということは、昨日來と話していたときに落ちたのか。


抱き締められたときにでも擦れたのかもしれない。


棘のある伊織の言葉も今日は気にならなかった。


彼がネックレスを拾って、しかも届けてくれるなんて少し意外だったけど。


「拾ってくれてありがとう」


顔の前で揺れるネックレスを取ろうと手を上げた。それなのに、伊織が更に高く手を上げるから私には到底届かない。


何。何を考えているの?


「返して欲しかったら俺の質問に答えろ」


一気に私の顔が強ばる。彼が一筋縄でいく筈なかった。


だから水憐メンバーには拾われたくなかったんだ。伊織が女の子のアクセサリーに目敏いとは思えないけど、もしかしたら…。


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