復讐の華

晟也を気にしていた私も、すぐに別の話題に気が逸れる。


「あ、うん。伊織が拾ってくれてた」


「ふーん?」


ニヤニヤと笑いを堪えるように伊織の方を見る美穂。


伊織はそんな彼女に嫌そうに目を潜めた。


「なんだよ」


「何だかんだ言ってもハナのこと気にしてたもんねー」


「は?んなわけねえだろ」


こうやって彼らと同じ空間に私が居て、こんなにも平和な時間を過ごしていると錯覚してしまいそうだった。


仲の良い、信頼出来る仲間。彼らはお互いのことをきっとそう思っている筈で、


今日から私もその一員で。


彼らに復讐する為に潜り込んだのに、この今を微笑ましく眺めている私もいる。


< 123 / 312 >

この作品をシェア

pagetop