復讐の華
彼らの口から私の知らない飛鳥の話を聞くのは何だか不思議な感覚がする。
飛鳥が此処に存在していたのは勿論知っていたけど、改めて彼女は私と違う場所で生きていたんだと思わされた。
「初めてレナのことを知らない人に話せたのが飛鳥だった。だから飛鳥が消えてから余計に人が信じられなくなったんだ」
低く言葉を紡ぐ伊織は顔色が暗く見えた。
彼女と喧嘩したと言っていたけど、きっとそれにも何らかの事情があって。
余計に人が信じられなくなったという言葉がそれを裏付けていた。
「その飛鳥も結局嵌められてたなんて、何が正しいか分かんねえよ」
自嘲するように軽く笑った伊織は同意を求めるように此方を見た。