復讐の華
「華月もこの人の本、好きなんだ?」
意外な共通点に胸が踊る。來、本とか読まなそうなのに。
私もこの作家のファンだった。ずっと前に、飛鳥にオススメされていつの間にか新作が出る度に本を買うほどハマってしまったんだ。
…ああ、そういうことか。
不意に頭に浮かんだ仮説が腑に落ちた。
熱された喜びが急速に冷えるのを感じる。
飛鳥の影響ね。きっと彼も、飛鳥がこの本を読んでいたから、読むようになったんだ。
何、この胸に広がる言い様のないモヤモヤとした嫌な感じ。
は、まさか嫉妬してるの…?來に?
私の唯一だった飛鳥が自分だけのものじゃ無かったという喪失感?