復讐の華

それとも私、飛鳥を邪険に思っていた…?


「どうした?」


急に黙った私を不思議そうに見る。


いや、有り得ない。私が飛鳥に嫉妬するなんて、天地がひっくり返っても無い。


「それより、聞いたよ。日曜日に対抗戦があるって」


強引に話を変えた私に胡乱な目を向けながらもその本を閉じる。


それを目で確認して、無意識にほっとしている私がいた。


「ああ、華月も来いよ」


「うん。美穂と観戦する」


私の返事に來は満足そうに笑った。


1階から騒がしい声が微かに聞こえるだけで、静かなこの空間。


だけどその沈黙は嫌じゃなかった。伊織との沈黙はあれほど気まづかったのに。


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