復讐の華
そう言って柔らかく笑った。
初めて見る、彼の心からの笑顔だった。
私たちは病院を後にした。外は生憎の曇りだけれど、そんなの気にしないみたいに彼の顔は晴れやかだった。
「そういえば、伊織も出るの?明日の対抗戦」
あの交差点の信号に引っかかっても、彼はあの時のような苦しげな顔は見せない。
この道路で倒れていた彼女の姿が、今日アップデートされたからだろうか。
「ああ、出るよ。今回こそ來に勝たないとな」
「やっぱり來、強いの?」
仮にも総長なのだからそれなりに実力はあるのだろうけど。
「アイツ、4連勝中だから」
「え」
伊織が言った言葉に、文字通り私の目が点になる。