復讐の華
麻痺
◇◇
日曜日。お昼前に訪れた倉庫は、いつにも増して盛り上がっていた。
リングなんて大袈裟なものではないけれど、1階のホールには対抗戦の為のスペースが作られていて、既に何戦か終えたようだった。
「ハナ!」
吹き抜けになっている、2階の廊下から美穂が私を呼ぶ。
ご丁寧に椅子を並べて観戦スペースを作ったようだ。
「ごめん、遅れちゃった」
「大丈夫だよ。まだ1回戦しかやってないから」
「お、ハナも観に来たんだ〜」
美穂の隣に座った私の背後から、晟也が声をかける。
いつも通りの、軽くて緩い晟也だ。
昨日の光景が脳裏に過ぎる。だけどそれについて聞くのは止めた。