復讐の華


夕焼けに赤く染まる空。窓からは低く落ちた太陽の光が射し込む。


対抗戦が終わって帰る人もいる中、私は來に呼ばれて総長室にいた。


來はまだ此処には居ない。


初めて入った総長室は、まるで生活感が無かった。


ここに飛鳥の名残なんてあったら、それはそれで嫌な気持ちになっていただろうけど。


「お待たせ」


窓から外を眺めていた私に、やっと戻って来た來が声をかける。


振り返って見えたその顔には疲労の色が滲んでいた。


無理もない。準決勝からは相当激戦だったから。


2人並んでソファーに腰を掛ける。


「お疲れ様。優勝、おめでとう」


100%前向きな気持ちで、とはいかないけれど、素直にお祝いの言葉を口にする。


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