復讐の華

『飛鳥の気持ちが離れていってるのを感じてた。』


危うげな瞳で星を見つめ、そう口にした來を思い出していた。


周りの人からも上手くいっていないと思われるくらい、2人の気持ちは離れていたの?


何かを欲するように一心に空を見ていた彼からは、後悔とか、責任とか。飛鳥に対する気持ちを感じたのに。


「だとしたら、どうして2人は別れなかったんだろう」


美穂は考えるようにグラスの中のアイスティをストローで掻き回した。


カラカラと氷の当たる音が心地良い。


「水憐に居たかったんじゃない?」


なるほど、と腑に落ちた。


來と別れてしまったら姫ではなくなるし、出入りすらも出来なくなるかもしれない。


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